飞越波涛的候鸟原名:波濤を越える渡り鳥,
ギターを抱え、胸にランの花をさした流れ者が遠く日本を離れた香港空港に 降りたった。 いわずと知れた渡り鳥の滝伸次…。 その伸次は、日本を発つ前日、横浜の岸壁で国際的なギャング団に襲われた 貿易商の松本を助けた。 意外なことにそのキャング団の一員は、戦争中、ビルマ国境の谷底で死別し たはずの兄、昭次が持っているはずのサンゴのネックレスを身につけていた。 一瞬、伸次は兄の死に疑惑を抱き持ち前の冒険心から香港行きを決意した。 空港ロビーには、松本の妹で芸大の東洋民族舞踊の研究生則子が出迎えていた。 彼女は兄に摘まれた書類をパンコックで研究を続ける恋人に届ける途中だった。 出発前、松本の調べでネックレスを持ったギャングの一員が香港の忠安公司の ジエラール・ウイリイと分かった。 則子と一緒に訪れたその忠套公司はすでになく、香港とパンコックにキャバレー “サムロ...