無頼平野
忠男と尾瀬は血液銀行とは名ばかりの、胎盤から血を絞り出すという人々の一番嫌がる仕事をしていた。忠男は“カジノ座”の踊り子・ナミに憧れていたが所詮は高根の花で、見知らぬ人に葉書を出すという孤独な遊びにふける日々を送っていた。一方、ヤクザ組織・黒竜会のボス梶山もナミを狙っていて、ナミに色々と嫌がらせをしている。その黒竜会に立ち向かってナミを助けたのが無頼漢のサブだった。しかし、サブが無頼漢であるがゆえに、ナミはその好意を避けるのだった。サブと尾瀬は幼な友達で、お互い貧しい少年時代を送った。少年時代のサブは祖父の陰湿なイジメに耐え兼ねて家出し、その時に、梶山一味と対決する無頼漢リュウと遭遇した。その出会いは強烈な記憶としてサブの脳裏に深く刻み込まれている。ある夜、黒竜会のチンピラとのケンカで腹を刺された尾瀬が、そのまま死んでしまった。忠男と二人で尾瀬の骨を...