黑色的斜面原名:黒の斜面,
ダイバ物産営業係長辻井喬は妻圭子と二人暮し。最近課長が目前と噂され、胸を踊らせている。謹厳実直型だが、柄にもなく愛人ができた。数カ月前、偶然失恋自殺を図った妙子を救ったことから情事を重ねていたが、昇格の話がでてから、妙子と別れて身辺を綺麗にしたいと思っている。その日、辻井は現金三千万円を大阪へ携行する出張命令を受け最終の飛行機に乗るべく羽田へ行ったが待ち受けていた妙子に口説かれて出発を翌朝に変更、切符を見知らぬ青年島田に譲った。同僚清水は予定通り発ち、辻井は公金と残った。この瞬間から辻井の運命は狂い始めた。その夜半、妙子はアパートで、最終便が三河湾に墜落、全員死亡したことを知ったが、辻井にニュースをかくし、翌朝知らせた。辻井は驚愕し、うろたえた。妙子との秘事、職務の怠慢、公金横領の嫌疑……。小心な辻井は戸惑った。辻井を独占するための妙子の計画は当り、...