堤防は洪水を待っている
鉄のマスクはその人間の心まで隠してしまう 表と裏、堤防の向こうとこちら側 二つの世界を隔てるため堤防は存在する 男と女は交わる事無く、ただ洪水を待っていた 工場で**を起こした山崎は、愛利の家に身を隠す 恋人とも友人とも取れない曖昧な二人の関係 それでも山崎を愛す愛利にとっては幸福な時間が続くはずだった 柿の実の落ちる音が無気味に響く 忍び寄る恐怖に震える山崎は 体に異変を感じ寝室に閉じこもってしまう そんな中、冷たくそびえる堤防の向こうで薄汚れた男に襲われる愛利 抵抗する愛利だったが、何故か知っている匂いを感じてしまう その日を境に堤防に隔てられた二つの世界によって離れていく二人の心 自ら堤防の向こうの男に会いに行こうとする愛利 それを止めようとする山崎が取った行動とは・・・