つづく
1人暮らしをしながら大学に通う真理枝は、ある日、母の来訪を受ける。その目的は再婚の報告だった。自分や兄に何の相談もなしに決めてしまった母に驚きながらも、幸せそうな様子を見て祝福する真理枝。「新しいお父さんに会いに来てほしい」という母の言葉を受け入れるが、兄の広人は重い腰を上げようとしない。母に頼まれて真理枝が説得に行くと、兄は恋人と暮らしていた。やさしくてしっかり者のその女性の力も借りて何とか兄と約束を取り付けたものの、自分の知らない間に母と兄に愛し合う相手ができ、新しい家庭をつくりつつあることに、真理枝は取り残された寂しさを憶える。日曜日、兄妹は母と新しい父が暮らす家を訪ねるが、なじみのない“実家”で過ごす時間はぎこちにない。そんな中、母と散歩に出かけ、一緒に料理をし、再婚相手の働く姿を見るうち、真理枝のわだかまりは少しずつ溶けていく。 ことさら大...