あいつとの冒険
高校三年の葉山光夫は、同級生の安田明と二人きりの気ままな旅行を秘かに計画していた。修学旅行の日をその日にあて、伊豆半島を一周しようというのだ。だが、ふとしたことからこの計画がクラス委員の宗方紀子に知れてしまい、旅行は三人で行くことになった。ところが当日明に急用ができ旅に行けなくなってしまった。気まずい思いの二人を乗せて汽車は走りだした。こうして二人だけの冒険旅行が始った。湯ケ島では人の好い老夫婦に会い、紀子は自分たちの旅行が、美しい想い出を残すことを誓った。が、ある日二人は喧嘩をして離ればなれになってしまった。そんな紀子に不良青年四人が突然襲いかかってきた。後からかけつけた光夫も、彼等の暴力の前には無力だった。そんな光夫と紀子を助けたのは、猟師の元三であった。元三は、負傷した光夫を手厚く看病し、家族ぐるみで二人を歓待した。が、その夜、元三の妻智江と一...