アカシアの町
脚の怪我でバレリーナになる夢を絶たれ、かつて鉱山の町として栄えた秋田県小坂町に帰郷した幸子。しかし、故郷の人々は東京帰りの彼女を必ずしも温かく迎えてはくれなかった。 父とは衝突が絶えず、昔の友だちとも溝ができていた。町には若者たちで結成された「KOSAKA DOWN-TOWN BAND」というバンドがあった。県大会を控え、練習に余念がないメンバー。だが、そのひとり・豊は新しい農業事業投資への失敗から多額の借金を抱え、練習どころではなかった。そんな彼を、幸子は救う。彼女が借金返済の肩代わりをしてくれたおかげで、豊は高利貸しに土地を奪われずにすんだ。そしてその一件以来、徐々にだが幸子と昔の仲間たちのわだかまりも溶けていくのであった。ある日、町の老人・千代子が50年前の鉱山の落盤事故で死んだ人たちの*霊祭で演奏してほしい、とバンドに依頼してきた。ところが、...